ベアリング(直線運動機器)についてQ&Aでやさしく解説します ベアリング入門 出題と解答:日本ベアリング

Q6

リニアシステムの温度範囲は?

A6

構成部品の材質によっても異なりますが、おおよそ-20℃~80℃です。

リニアシステムを使用する際の環境温度の範囲は、材質にも左右されますがだいたい-20℃~80℃程度です。これは、リニアシステムは使用温度が100℃以上となることを推奨しないからです。

【代表形式と推奨温度範囲】

代表形式と推奨温度範囲


リニアシステムでは、案内軸がボールベアリングの内輪と同じ役割を果たすため、案内軸の硬さが定格荷重決定の重要な要素となります。そのため表面の硬さが低下すると、定格荷重も減少してリニアシステムの寿命にも影響を与えます。

硬さ係数(fH)


そこで表面を強固にするため、リニアシステムは焼入れを施します。これにより使用温度が100℃を超える高温の場合には、表面の硬さの低下を招き、定格荷重が減少して寿命が短くなります。
使用温度が80℃を超える場合は、構成部品の材質を高温仕様に変更する必要があります。使用温度が100℃を超える場合は、定格寿命を算出する際に高温による悪影響を考慮して、 下図の温度係数を乗じます。

SPLFS形(有限ストローク形)

また、構成部品に樹脂を含む場合には、素材の強度が問題となり高温では使用できません。なお、使用するグリースによって、使用温度に制限を受ける場合もあります。詳細は、弊社製品カタログをご覧いただくか、弊社までお問合せください。

Q7

リニアシステムの性能を発揮させるには、どんなメンテナンスが必要?

A7

使用条件に合わせた潤滑方法を決定し、最適な潤滑剤を選定する必要があります。

リニアシステムの性能を十分に発揮させるには、使用条件に合わせた潤滑方法を決定し、最適な潤滑剤を選ぶ必要があります。

潤滑は転動体間の摩擦や、転動体と軌道面の間の摩擦を小さくして焼付きを防止。構成部品の摩耗を減らすと同時に、表面に油膜を形成して錆の発生を防ぐことなどを目的としています。
潤滑剤は、グリース潤滑と油潤滑に大別されます。なかには、低発塵性にきわめて優れており、クリーンルーム内での使用に最適なグリースや、金属元素を含まないため酸化安定性が高く、耐久性、耐熱性に優れたグリースなど、特殊な環境に対応したものもあります。
また、食品製造機械用として、HACCP(食品規格 (コーデックス) 委員会から発表された衛生管理手法)に対応した規格である「NSF-H1」クラス認証のグリースも用意されています。
それぞれ使用条件に合わせて、潤滑剤の種類と潤滑方法を選定します。

潤滑剤は、使用条件や環境などによって適時補給します。通常の使用条件の場合の給脂間隔は、6カ月または1,000km程度を推奨しています。

なお、異種グリースの混合はグリース本来の潤滑性能を低下させるだけでなく、製品の不具合にもつながりかねません。グリースを充填する前に使用する装置を綺麗にし、古いグリースを取り除いてから、新しいグリースを充填することが重要です。

潤滑の全般に関する詳細は、弊社製品カタログをご覧いただくか、弊社までお問合せください。